中国ビジネスコラム
中国越境ECで注目の「ライブコマース」とは?市場動向と始め方を解説
2026/06/29 越境EC

中国市場向けのマーケティング施策やEC売上拡大の手段として、『ライブコマース(直播电商)』を検討する日本企業が増えています。
中国では、ライブ配信を通じて商品を販売するスタイルがすでに日常化しており、化粧品や食品、健康食品、日用品、アパレルなど幅広いジャンルで活用されています。
しかし、いざ導入を検討するとなると、「実際に始めるには、どのような手順で進めればよいのか」といった点で悩む企業も少なくありません。
中国のライブコマースは、単に配信を開始すれば成果につながるものではなく、市場や消費者行動への理解を踏まえたうえで、配信内容、集客方法、運営体制などを整理して進める必要があります。
そこで本記事では、中国でライブコマースが普及した背景と、日本企業が導入するための具体的なステップについて解説します。
ライブコマースとは?中国EC市場に定着した背景

ライブコマースとは、ライブ配信を通じて、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を販売する手法です。
中国では以下のプラットフォームを中心にライブコマースが行われています。
・抖音(Douyin)
・淘宝ライブ
・快手(Kuaishou)
・小紅書(RED)
・微信视频号(Channels)
中国でライブコマースが爆発的に普及した理由
中国でライブコマースが急速に普及した背景には、中国ユーザーの購買行動との高い親和性があります。
中国の消費者は、ECで商品を購入する際、テキストや商品画像だけでなく、「実際にどのように使うのか」「自分に合っているのか」といった点を重視する傾向にあります。特に化粧品やアパレル、食品カテゴリでは、使用感やサイズ感、質感など、テキストや画像だけでは分かりにくい情報が、購入前の重要な判断材料になります。
ライブコマースは、こうした購入前の情報確認をリアルタイムで補える点で、中国ユーザーの購買行動と相性の良い販売手法です。配信者が商品を紹介しながら、実際に使用している様子や使用前後の変化、テクスチャなどを視覚的に伝えることができ、視聴者はコメント機能を通じてその場で質問することもできます。
通常のECページでは、商品説明や画像、レビューなどをもとに購入を判断する必要があります。一方、ライブコマースでは、商品説明・実演・質問対応を配信中にまとめて行うことができるため、視聴者は商品への理解を深めながら購入を検討できます。この点は、実店舗で接客を受けながら商品を選ぶ感覚に近く、オンライン上でも購入前の不安を解消しやすいことが特徴です。
また、ライブコマースの大きな強みとして、視聴から購入までの導線がスムーズである点も挙げられます。配信画面内の商品リンクからそのまま購入手続きに進むことができ、AlipayやWeChat Payなどの決済手段を通じて短時間で決済を完了できます。視聴中に興味を持った商品をその場で購入しやすい仕組みが整っているため、購入までの離脱を抑えやすい構造になっています。
さらに、中国のライブコマース市場では、商品そのものだけでなく、「誰が紹介しているか」も購買判断に大きく関わります。KOLや企業公式アカウントは、日頃の発信やライブ配信を通じてフォロワーとの信頼関係を築いており、その信頼が商品への関心や購入につながるケースも多く見られます。
特に抖音では、インタレストECと呼ばれる興味関心ベースのレコメンドにより、ユーザーが明確な購入意向を持っていない段階でも、コンテンツとの接触をきっかけに商品への関心が生まれ、そのまま購買へとつながりやすい仕組みが形成されています。検索して商品を探すだけでなく、コンテンツを見ている中で商品を知り、興味を持ち、購入するという流れが、ライブコマースの成長を後押ししています。
このようにライブコマースは、実店舗のように商品を確認できる安心感、ECならではの購入のしやすさ、そしてコンテンツ接触から購買までのスムーズな導線を兼ね備えた販売手法として、中国ユーザーの購買スタイルに合う形で普及してきました。
中国ライブコマース市場の規模と成長性
人民網(中国メディア)等の最新報道によると、2025年のライブコマースによるGMV(流通取引総額)は5兆元(1元=23円換算で約115兆円)を突破しました。これは中国のネット小売総額全体の約3分の1を占める規模です。
また、2025年のライブコマースユーザー1人あたりの年間消費額は約7,968元で、前年比6%増となっています。
・主要データ
市場規模(GMV): 5兆元超(約115兆円)
ユーザー規模: 約6億6,000万人
アクティブライバー数: 3,880万人
ユーザー1人あたりの年間消費額: 約7,968元(前年比6%増)
このように、中国のライブコマース市場は現在も拡大を続けています。
中国向けライブコマースの始め方|成功への6つのステップ
中国向けライブコマースを始める場合、まずは以下の流れで準備を進めるケースが一般的です。
ステップ①:配信プラットフォームの選定
商品のターゲット層や予算に基づき、「抖音」「淘宝直播」「小紅書」などから最適なプラットフォームを決定します。
プラットフォームによって、ユーザーの利用目的や購買行動、ライブ配信との接触方法が異なるため、単に利用者数の多さだけで判断するのではなく、自社商品との相性を見極めることが重要です。
選定にあたっては、以下のような観点を整理します。
ターゲット層との一致:年齢・性別・興味関心・購買単価などが、自社商品の想定顧客と合っているかを確認します。たとえば、若年層向けの美容・アパレル商材であれば、コンテンツ接触から購買につながりやすいプラットフォームが適しています。一方で、既存顧客や購買意欲の高いユーザーに向けて販売する場合は、EC機能が強いプラットフォームとの相性も重要になります。
商品カテゴリとの相性:衝動買いされやすい商材、レビュー重視の商材、価格訴求しやすい商材など、商品ジャンルによって向き不向きがあります。
集客方法との相性:プラットフォームによって、ライブへの流入経路は異なります。フォロワーへの告知を中心に集客するのか、ショート動画や投稿からライブへ誘導するのか、広告配信によって視聴者を獲得するのかを整理する必要があります。特に新規ブランドの場合、ライブを開始するだけでは視聴者が集まりにくいため、事前投稿・広告・KOL活用などを含めた集客設計が重要になります。
運用コスト・参入難易度:ライブ配信には、配信者の起用費、撮影・配信体制、サンプル手配、広告費、KOL起用費などが発生します。プラットフォームごとに必要な運用体制や費用感が異なるため、初期段階では自社の予算規模に合った形で開始できるかを確認することが重要です。
ステップ②:配信商品の決定
ライブコマースでは、すべての商品が同じように売れるわけではありません。「使用シーンを見せやすいもの」「使用後の変化が伝わりやすいもの」「実演デモが効果的なもの」はライブ配信と相性が良い傾向があります。コスメ、美容家電、食品、調理器具などが代表例です。
ステップ③:配信構成・台本(スクリプト)の作成
ライブ配信では、事前に配信全体の構成と台本を設計しておくことが重要です。
ライブコマースは、通常の商品ページとは異なり、視聴者の反応を見ながらリアルタイムで進行するため、単に商品を紹介するだけではなく、視聴者の関心を維持しながら購入へつなげる流れを作る必要があります。
一般的には、オープニング、配信内容の案内、商品紹介、使用方法や特徴の実演、コメント対応、キャンペーン・特典案内、購入導線の案内といった流れで構成します。
特に中国のライブ配信では、視聴者がコメントを通じて質問や反応を積極的に行うため、想定される質問への回答や、コメントを拾うタイミングもあらかじめ設計しておくことが大切です。
また、配信中に訴求する商品の順番や、価格・特典を案内するタイミングも重要です。視聴開始直後のユーザー、途中から流入したユーザー、購入を迷っているユーザーなど、視聴者の状態に応じて情報を伝えられるよう、台本には商品説明だけでなく、購入を後押しするトークやキャンペーン案内も組み込んでおく必要があります。
このように、配信構成・台本の作成では、商品の魅力を伝えるだけでなく、視聴者とのコミュニケーション、疑問解消、購入促進までを一連の流れとして設計することが重要です。
ステップ④:配信主体の選択
ライブコマースを実施する際は、誰が配信を行うのかを決める必要があります。主な方法としては、KOLやライバーを起用する「達人直播」と、自社の公式アカウントで配信する「自播・店播」があります。
KOLを起用する場合、すでに一定のフォロワーや影響力を持つ配信者を通じて商品を紹介できるため、短期間で認知拡大や売上獲得につなげやすい点が特徴です。特に新規ブランドや中国市場での認知がまだ低い商品では、初期段階でユーザーとの接点を作る手段として有効です。一方で、KOL起用には配信費用や販売手数料が発生するほか、配信者との相性や訴求内容によって成果が左右されやすい点にも注意が必要です。
一方、自社配信は、自社の公式アカウントや店舗アカウントを通じて継続的にライブ配信を行う方法です。短期間で大きな売上を作るというよりも、商品理解の促進、ファンとの関係構築、リピーター獲得など、中長期的な運用に向いています。
配信を重ねることで、ユーザーから寄せられる質問や反応を蓄積でき、商品説明や配信内容の改善にもつなげることができます。
近年では、KOL起用と自社配信を組み合わせる企業も増えています。たとえば、初期段階ではKOLを活用して認知度や初動の売上を獲得し、その後、自社アカウントへのフォローや再訪を促すことで、自社配信による継続的な接点づくりにつなげる方法です。
このように、配信主体の選択では、短期的な売上獲得を重視するのか、中長期的なブランド資産の蓄積を重視するのかによって、KOL起用と自社配信を使い分けることが重要です。
ステップ⑤:事前集客・プロモーションの実施
ライブ配信は、開始しただけで自然に視聴者が集まるわけではありません。特に新規ブランドやフォロワー数が少ないアカウントの場合、配信前の集客設計が不十分だと、ライブを実施しても十分な視聴者数を確保できない可能性があります。
そのため、ライブ配信前には、ショート動画や投稿による告知、広告配信、KOL・KOCによる事前紹介、既存フォロワーへのリマインドなどを行い、配信開始時点でターゲットユーザーが集まる状態を作ることが重要です。
また、事前告知では、単に「ライブを実施します」と伝えるだけでなく、配信で紹介する商品、限定価格、特典、抽選企画、視聴メリットなどを明確に伝える必要があります。視聴者にとって「なぜその時間にライブを見るべきなのか」が分かる内容にすることで、配信開始時の流入を高めやすくなります。
さらに、配信当日も、開始直前のリマインド投稿や広告配信、ライブ中の追加告知などを行い、視聴者の流入を継続的に確保することが重要です。ライブコマースでは、配信内容だけでなく、配信前後のプロモーション設計も成果を左右する要素となります。
ステップ⑥:配信本番とデータ分析・改善(PDCA)
ライブ配信の本番では、事前に設計した構成に沿って進行しながら、視聴者のコメントや反応に応じて柔軟に対応することが重要です。質問が多い商品や反応が良い訴求、離脱が起きやすいタイミングを把握しながら、商品説明や実演、キャンペーン案内を調整していきます。
配信終了後は、視聴者数、視聴維持率、コメント数、商品リンクのクリック数、カート投入数、購買率(CVR)、売上金額などのデータを分析します。どの商品に関心が集まったのか、どの訴求がクリックや購入につながったのかを確認し、次回配信に向けて改善点を整理します。
ライブコマースは、一度の配信で完結する施策ではありません。配信データをもとに、構成、トーク内容、商品紹介の順番、価格・特典の見せ方、集客方法などを継続的に改善しながら、成果を高めていくことが重要です。
まとめ
中国では、ライブコマースは単なる販売配信ではなく、商品理解の促進から購入までをつなぐ重要な販売チャネルとして定着しています。
一方で、ライブ配信を開始すれば自然に売上が生まれるわけではありません。成果につなげるためには、商品の特性やターゲットに合ったプラットフォームを選定し、KOL起用や自社配信などの配信主体を検討したうえで、配信構成、事前集客、配信後のデータ分析・改善までを一連の流れとして設計することが重要です。
また、中国市場では、小紅書や抖音などのSNSとライブコマースを連動させることで、より効果的な販売導線を構築できます。小紅書での商品理解や口コミ形成、抖音でのショート動画接触やライブ誘導などを組み合わせることで、認知・興味喚起から購入までをスムーズにつなげやすくなります。
中国市場での販路拡大を目指す企業にとって、ライブコマースは有効な選択肢の一つです。導入にあたっては、単発の配信施策ではなく、SNS運用や広告施策とも連動させながら、継続的に成果を高めていく販売戦略の一部として設計することが重要です。
株式会社日辰の中国ライブコマース支援サービス
株式会社日辰では、中国市場への進出やEC売上拡大を目指す日本企業様に向けて、戦略立案から運用まで一気通貫のサービスを提供しております。

・中国現地に40以上の「ライブコマース専用スタジオ」を保有
・自社ライバー100名以上在籍
多数の中国人ネイティブライバーを社員として擁し、ライブコマースを継続的に運営できる体制を構築しています。商品の特徴やブランドの訴求ポイントを中国ユーザーに合わせて伝えながら、安定した配信運用が可能です。
・SNS運用・ライブ配信・越境EC運営まで対応
小紅書(RED)や抖音でのSNS運用、KOLマーケティング、ライブ配信、各プラットフォーム上での購買導線設計、天猫国際(Tmall Global)等のEC店舗運営まで、一気通貫で対応しています。認知形成から商品理解、購買までを見据えた総合的な運用設計が可能です。
中国向けライブコマースの導入、運用改善、売上拡大にお悩みの方は、ぜひお気軽に日辰までご相談ください。





