中国ビジネスコラム

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中国版TikTok「抖音」とは?越境ECの活用法や注意点

2026/06/11 越境EC

中国市場でビジネスを展開する上で、いま目が離せないプラットフォームが「抖音(Douyin)」です。  
1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)は6億人超。単なるショート動画アプリの枠を超え、今や「巨大な購買インフラ」として中国消費市場を牽引しています。

本コラムでは、抖音の基本概要から越境ECでの活用方法、出店プロセス、成功のポイントまでをわかりやすく解説します。




抖音(Douyin)とは


抖音(Douyin)は、ByteDance社が運営する中国国内向けのショート動画プラットフォームです。  

日本で広く利用されているTikTokの中国版として知られていますが、現在では動画SNSという枠を超え、中国最大級のEC・ライブコマースプラットフォームへと進化しています。

東方財富(EastMoney)の報道によれば、抖音グループの2025年売上高は約9,012億元、GMV(流通取引総額)は4兆元を突破しました。

さらに、中国大手データ調査会社QuestMobileによると、2026年3月時点のMAU(月間アクティブユーザー数)は10億900万人に到達。  
これは、中国国内で初めて月間アクティブユーザー10億人を突破したショート動画プラットフォームとなります。

中国のアプリ全体を見ても、月間アクティブユーザー数10億人超を達成したアプリはWeChatに続き2例目であり、抖音が中国社会に深く浸透していることが分かります。

また、ユーザーの平均利用時間は1日1.5時間以上とされており、抖音は今や「生活インフラ級アプリ」として定着しています。


TikTokとの違い

TikTokが世界向けサービスである一方、抖音は中国市場向けに独自進化を遂げており、特にEC機能やライブコマース機能が圧倒的に発達しています。

ユーザーは動画やライブ配信を視聴しながら、その場で商品詳細を確認し、アプリを離れることなく決済まで完了できます。
つまり、「動画を見る → 商品に興味を持つ → 購入する」という流れが、完全にシームレス化されているのです。

なお、日本でも2025年6月より「TikTok Shop」が開始され、TikTok上での購買体験が本格化し始めています。


他のECプラットフォームとの違い

抖音が従来型ECと大きく異なるのは、ユーザーが「買う予定ではなかった商品」を購入する導線を構築している点です。

従来のECサイトでは、ユーザーが検索窓に商品名を入力して購入する「指名買い」や「目的買い」が主流でした。
一方、抖音では独自アルゴリズムによって、ユーザーの視聴履歴、滞在時間、いいね、コメントなどの行動データを分析。
興味関心に近い動画が次々と表示され、その流れの中で商品訴求が行われます。
ユーザーは動画を視聴しているうちに商品に興味を持ち、数タップで購入を完了します。
この「衝動買いを自然に促す仕組み」こそが、抖音最大の強みです。

ByteDance社はこの新しいECモデルを「全域興味EC(Interest E-Commerce)」と定義しています。




抖音における3つの販売手法

抖音では主に3つの販売手法が存在します。


① ショート動画EC(短视频带货)

動画投稿と同時に商品リンクを設置し、視聴から購入へ誘導する手法です。

特徴

・拡散力が高い
・商品理解を短時間で促進できる
・高い成約率が期待できる→興味から購入までを最短化できる


② ライブコマース(直播电商)

ライブ配信を通じてリアルタイムで商品販売を行う手法です。
中国では、人気KOL(インフルエンサー)が数万人〜数十万人規模の視聴者を集め、ライブ中に大量販売を実現するケースも珍しくありません。

特徴

・双方向コミュニケーションが可能→視聴者とリアルタイムでコミュニケーションが取れる
・商品理解が深まりやすい
・短期間で大きな売上を作りやすい→短期間で大きな売上につながる可能性がある



③ 商品棚型EC(货架电商)

従来型ECのように、ユーザーが商品一覧から検索・比較して購入する形式です。

特徴

・動画やライブなどの制作コストがかからない
・ライブ配信に依存しない
・安定的な売上基盤となる



抖音越境ECの強み


①圧倒的な拡散力

抖音最大の特徴は、フォロワー数だけでなく、コンテンツに対する視聴者の反応を重視するレコメンド型アルゴリズムにあります。
そのため、新規ブランドであっても、ターゲットに響くコンテンツを発信できれば、大きなリーチを獲得できる可能性があります。
この仕組みにより、後発ブランドにも認知拡大の機会が広く開かれていることが、抖音の大きな魅力の一つです。


② 高いコンバージョン率

動画やライブ配信を通じて商品の魅力を直感的に伝えながら購買へとつなげられるため、一般的なECサイトと比較して高いコンバージョン率が期待できます。

特にライブコマースでは、商品の実演や限定価格の提示、リアルタイムでの質疑応答、利用シーンの紹介などを組み合わせることで、視聴者の購買意欲を効果的に高めることが可能です。


③ 中国現地法人なしでも出店可能

「抖音電商全球購(Douyin EC Global)」を利用すれば、日本法人が日本から直接越境出店が可能です。

現地法人設立が不要なため、初期コストや参入ハードルを大幅に下げられます。



抖音越境ECの留意点


① コンテンツ制作頻度の高さ

中国市場ではトレンド変化のスピードが極めて速く、数週間で流行が移り変わります。常に新しい切り口の動画を制作し続ける必要があり、クリエイティブ制作の負荷が他プラットフォームより高くなります。また、制作費をただ圧縮するだけだと、クリエィティブの質が担保できなくなったりなど、価格統制とコンテンツの質の両立が求められます。


② 競争が激しい

多くの国内外ブランドが参入しており、競争環境は年々激化しています。特に人気カテゴリーでは競合も多く、継続的なコンテンツ発信や広告活用、KOL/KOCとの連携など、計画的なマーケティング施策が求められます。


③ 物流・法規制への理解が必要

越境EC特有の物流(直送・保税区)や、化粧品・食品などカテゴリごとの許認可、禁輸品に関する知識が求められます。また、特に中国は規制変更が頻繁に発生するため、最新情報への対応が重要です。


中国越境ECの始め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
中国越境ECの始め方完全ガイド|市場規模・出店方法・戦略まで解説



抖音での越境EC出店プロセス

2025年現在、抖音は日本ブランドとしての知名度や品質を重視しており、審査基準は年々厳格化しています。

出店時には、以下のような書類が必要になります。


出店に必要な主な項目
・法人登記簿謄本
・授権代表者声明書
・被授権代表者の身分証明書
・銀行口座情報


基本的な流れ
1.出店申請
2.書類審査
3.保証金納付
4.店舗開設
5.商品登録
6.物流設定
物流は、日本からの直送モデルと、中国保税倉庫活用モデルの2種類が一般的です。



抖音越境ECで成功するための方策


他プラットフォームとの連携

中国の消費者は、購入前に複数のプラットフォームを横断しながら情報収集を行う傾向があります。
そのため、抖音単体で施策を展開するのではなく、小紅書(RED)や天猫国際(Tmall Global)などと連携した統合的なマーケティング戦略が重要です。
特に、小紅書で口コミや商品認知を形成し、抖音で購買へつなげる導線設計は効果的な手法の一つと言えます。
天猫国際についてはこちら



KOL/KOCの積極活用

中国市場では、インフルエンサーであるKOL(Key Opinion Leader)や、消費者目線で発信するKOC(Key Opinion Consumer)の影響力が絶大です。自社商品と親和性の高いKOL/KOCに商品を提供し、動画やライブ配信で紹介してもらうことで、認知度と信頼性を一気→効果的に高めることができます。




まとめ:中国ビジネスの変化に対応し、ECの未来を掴むために


中国市場では、「商品を検索して購入する時代」から、「コンテンツを楽しみながら購入する時代」へと変化しています。その流れを象徴するプラットフォームの一つが抖音です。

抖音は、中国消費者の日常に自然に入り込みながら、視聴体験を購買体験へとつなげることができる点に大きな特徴があります。そのため、中国市場において認知拡大から販売促進までを担う重要なプラットフォームとして、多くの企業に活用されています。

一方で、中国市場で成果を上げるためには、抖音単体での施策だけではなく、コンテンツ制作、ライブコマースの活用、KOL・KOC施策、小紅書など他SNSとの連携を含めた総合的なマーケティング戦略が不可欠です。市場や消費者特性を踏まえた戦略設計こそが、中国市場攻略の鍵となるでしょう。





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